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ぼくのうちに居候がやってきた47




ユノさん・・・まさか・・・。


「ユノさんっ!!」


僕は思わず叫んだ。


ユノは自分の名前が呼ばれているのに気がついたみたいに、
辺りをキョロキョロ見回して、声の出処を探しているようで。


「ユノさんっ!ユノさんっ!!」


ホームにいた人達が何事かと、必死にユノの名前を呼ぶ僕に視線を注ぐ。



その時に、アナウンスが聞こえて、向こうから電車がやってきた。



「ユノっ!!!」



必死に叫んだ。



「ユノッ!!!行くな!!!!」



その声にユノは僕を見つけて、あっ!という表情をした。
何か言いかけた瞬間、ユノの声と姿は、ホームに入ってきた電車にかき消された。


僕は、反対側のホームへと、階段を駆け上がる。
電車を降りてきた人の波に飲まれそうになりながら。


今、ユノを行かせたら、僕は絶対、後悔する。


心の準備は出来ていた・・・つもりだった。
でも、ホームに心細そうに立つユノの表情を見て、そんな気持ちは吹き飛んだ。


くそっ・・ユノさん、行くなよ。


「すみませんっ・・・、すみませんっっ!!」僕は大きな声で謝りながら、
人の流れに逆らって、ひたすら走る。


紙袋から買ったりんごが飛び出して、階段を転がり落ちていった。


発車のベルが聞こえる。


ユノ・・・ユノ・・・待って・・・このままさよならなんて、こんなの受け入れられるかよ!


最後の4段を一気に飛び降りて、ホームの地面を踏んだ瞬間に。


目の前を、電車が動き出して、僕の前を無情にも通り過ぎていく。


自分で心臓が止まるんじゃないかと思うほど、走ったのに。



・・・・間に合わなかった・・・。


なんで・・・なんで、ユノさん・・・こんな風に行っちゃうんだよ・・。



小さくなっていく電車を、僕は見送ることしかできなかった。



・・・悔しい。
こんな最後を迎えることになったことが、悔しいよ。

ユノさんは・・・納得してるの?

問いかけたくたって、もう会えない。
もう会えないんだ。


放心状態で、ホームに立ち尽くす。


けれど、次の電車を待つ人たちがホームにちらほら集まってきて、
僕をほおっておいてくれはしない。


ホームに転がったりんご・・・・拾わなきゃ。


ユノの喜ぶ顔が見たくて、奮発して買った・・・。
一つ一つ、そして、最後のりんごを拾って立ち上がろうとした時。



視界に、見覚えのあるスニーカーが入った。



視線を上げると、そこに・・・・ボストンバッグを抱きしめた、ユノが立っていた。



僕は自分の目を一瞬疑った。



ユノは何も言わずに、黙って僕を見つめて、そこに立っていた。


その傍らには、シスターが寄り添っている。



「ユノさん・・・・電車・・・乗らなかったんだね・・?」


「・・・はい。チャンミンさんの声が・・聞こえました。行くなって、チャンミンさんの声、聞こえました」


そうだよ、ユノさん。行くな、って、言ったんだよ。


心の奥深くから、じわじわと熱いものがこみ上げてきて。


我慢が出来ずに、僕は人目もはばからずユノを抱きしめて、泣いた。




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