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ぼくのうちに居候がやってきた48




ユノを抱きしめて、ユノが僕の腕の中にいることを強く実感したかった。


ユノの匂い。


抱きしめるたびに、安心する、ユノの匂い。


ああ、もう離したくないんだ。
ユノと一緒にいたい。
これまでも、これからもずっとずっと。



瞑っていた目を開けると、肩越しにシスタ-が慈悲深い表情をして、僕たちを見守っているのが見えた。



僕もユノも、涙やら鼻水やらで顔がぐしゃぐしゃになっていて、
お互いの顔をみて、くすっと笑ってしまった。


「ユノさん、ひどい顔してる・・・」


「・・ホントですか?・・・でも・・・チャンミンさんも・・・」


ユノはそれ以上は言葉を濁したけど、言いたいことはわかってる。
ひどい顔、っていうんだろ?わかってるよ。
それは、お互い様。


ユノから、シスターの紹介をされる。


「こんにちは、初めまして。僕、チャンミンと言います」


お辞儀をすると、シスターは優しい眼差しで僕にお辞儀をし返してくれた。


ユノがトイレに行きたいというので、じゃあ、と三人で階段をあがって
僕とシスターは改札を出て、ユノをそこで待った。



「電車が来たとき、突然・・ユンホちゃんが頑として動かなくなって・・・」


シスターは言う。


「ここでユンホちゃんを無理に連れて行ってはいけない、もう一度、話し合わなければならないと思ったので
電車に乗りませんでした。ベンチに二人座って、まず落ち着こうと思ったのです」


ユノにとって、シスターは母親のような存在だと言っていたことを思い出した。


「私がお迎えに出向いたとき、ユンホちゃんは目に涙をいっぱいためて、泣くのを我慢していました。でも、何も言わずバッグを持って来てアパートをあとにしたのですけれど、途中、何度も何度もアパートを振り返るのです。もしかしたら帰りたくない、というのではないか、と思ったのですけれど・・・。ユンホちゃんは今まで我儘を言ったことはありません。本当に心の優しい子です」


シスターの話を聞いて、その情景が目に浮かぶようだった。


「でも、チャンミンさん。さっきのユンホちゃんの表情を見たとき・・・わかりました。チャンミンさん、あなたの
声がユンホちゃんの心に深く深く届いたのですね」


行くな!!と乱暴に言い放った言葉、だったけれど。
あの言葉こそ、僕がずっと我慢してた本心だったんだ。


「ユンホちゃんのこと・・・これ以上お話することはできませんが・・・。もう一度、ユンホちゃんと話し合う時間をいただいてもよろしいですか?」


できることなら、このあと、二人で話をしたい、という。


「強引に連れて帰るつもりはありません。ユンホちゃんが思うままに決めて欲しい。でも、タイムリミットが
あるのです。猶予がありません。ユンホちゃんは明日までに選択をしなければなりません」


明日・・・。


ユノが言っていた、「星になる」ということ。
僕の知らないことがたくさんあるけれど、それは知ってはいけないことなんだろう。
ユノが、どうするか決めることなのだから・・・。


「シスター、僕にこうしてお話してくださったこと、感謝しています。
僕は・・・正直に申し上げますが、ユノさんとずっと一緒にいたいです。
でも、ユノさんがそれを選ぶかどうかはユノさん次第だということも、理解しているつもりです」



ユノの、心の、思うままに・・。



ユノが、改札から出てきた。



「ユノさん、この近くに喫茶店があるでしょう?シスターとお話をするのはそこがいいよ。
僕、外で待ってるね」



待ってる、ユノさんが戻ってくるの・・・。


ユノは、こくんと頷いて、シスターと一緒に階段を降りて、喫茶店の方向に歩いて行った。


もしかしたら・・・。
ユノは帰ってこないかもしれない。
でも、もう腹をくくるしかないんだ。



ユノの、思うままに。



30分ほど、僕は外で待っていたけれど
そのうちに、ユノとシスターが出てきた。



「チャンミンさん!!」



ユノが小走りにやってくる。


シスターが穏やかな、優しい笑みを浮かべながら続いて歩いてきた。
・・マリア様のようだ。そう思った。


「ユンホちゃん、自分の心のままに決めなさい。あなたがどちらを選ぼうと、私はユンホちゃんの幸せを
一番願っていますよ」



チャンミンさん、今晩はユンホちゃんをよろしくお願いします。



ユノはシスターに抱きついて、頭を何度も撫でられていた。
まるで、母と子のように・・・。
僕の知らない、ユノがそこにいた。


シスターはユノのほっぺたにキスをして、手を振って去っていった。
きっとシスターはユノに言い聞かせるようなことはしなかっただろう。

それだけユノのことを愛してるんだ。
それもよくわかった。



「僕、チャンミンさんのアパートに行きたいです。チャンミンさんが、夕ごはん作ってくださるって、
僕、本当に朝から楽しみにしてました。チャンミンさんと一緒に帰りたいです」



「・・・帰ろう、ユノさん」


はい。


ユノはボストンバッグを、僕は仕事の鞄と紙袋を抱えて、買い忘れた食材を買ってくよ、とスーパーに立ち寄って、
家路を急いだ。



ユノの選択がどちらになろうと。


ユノの、心のままに。


ユノの、思うままに。






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