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stay gold 2




湖畔の写真の前に立って。

フレームに反射した僕の姿を、真正面に見つめながら。




あの頃・・・。


僕は、ある人と出会って、恋をした。




毎日毎日、授業が終わると
部活仲間と一緒に自転車で湖に向かう。

そして日が暮れるまで、そこで練習する。



そう、僕は、ボート部に所属していた。



平日だけじゃなく、大会近くになると
週末も一日湖にいることが多かった。


シングルスカルは特にバランス感覚が必要とされるから
落水を何度も何度も繰り返して、最初の頃はすぐにやめようと思ったし
筋トレもキツくって、なにが楽しくてボート部に入っちゃったんだろうなんて後悔したこともあった。


でも、同じ部活仲間が好きだった。
ボート部なんて、バスケ部とかサッカー部に比べると、地味すぎて全然目立たなかったし
女の子にも全然もてなかったけど。


夕方、練習を終えて、へとへとになりながら
仲間と自転車押して、途中で買い食いして。


キツかったけど、楽しかったし、充実してた。


僕はまだ、恋愛経験がなかった。
女の子に興味がなかったわけじゃない。
チャンスがあれば、なんて思ってはいたけど、そんなもの練習ばかりの毎日にあるわけもなく。


そんな感じで毎日が過ぎていった、あの頃。



その日も、僕はいつもと同じように
放課後に部活仲間と湖に行って、乗艇練習を何度か繰り返した。


「チャンミン。今度の大会、絶対勝とうぜ」


「やるだけやるさ」


僕は、自分にハッパをかけてやるタイプというよりも
黙々とやるべき練習を重ねていくタイプだったから。
もしかしたら他の奴らからみたら、そんな僕は物足りなく感じられたかもしれない。


乗艇練習を終えて、畔をマラソンする。
ひたすら、自分のペースで。


いつもの小道を走っていると、向こうから歩いてくる人がいた。
このルートは僕が見つけたもので、普段は走っていても他の人がすれ違うことはほとんどなかった。


よく見ると、その男の人は、大きな望遠カメラを持っていた。


湖の鳥でも撮っているのかな・・・?


すれ違いざまに、僕は軽く会釈する。
その男の人も、僕を見てにっこり笑って。


見たこともない人だ。


そう思っただけで、僕は特に気にすることもなく、走り続けた。


が、そのうちに天候が悪くなってきて、雨が降るんじゃないかと
僕は来た道を戻って、仲間のもとに戻った。


「チャンミ~ン!雨降るぜ!早く帰ろう!!」


仲間たちはすでに帰り支度を終えていて、汗びっしょりの僕を待っていてくれた。



「悪い!待たせちゃって・・。先帰ってて。あとから追いつくからさ!」


叫んでそう伝える。


わかった~!じゃあな、早くこいよ~!と仲間たちは先に帰っていった。


僕も急いで荷物をまとめて、畔にあるボートハウスにオールを片付けに行って。
鍵を締めて帰ろうとしたときに、大雨が降ってきた。


はぁ・・なんだよ。
傘、持ってないし。


ボートハウスの軒下で、僕は雨が止むのを待った。
空を見上げると、真っ黒い雨雲がすごい速さで流れていく。


早く止んでくれないかな。
マラソンでかいた汗が冷えて、ちょっと肌寒い。


10分ほど待っても、雨が止む気配がない。
仕方ない、この土砂降りの雨の中を走って帰ろうか、と心を決めたとき。


走って軒下に入ってくる人がいた。


ふっと見ると・・あれ・・?


たしか、さっき小道ですれ違った、カメラ持ってた人。


髪の毛から雫が垂れて、大切なカメラをシャツの下に無理やりしまいこんでいた。


ちらっと・・僕と目が合った。



「・・すごい雨だね。まいったな」



独り言のような、僕に言っているような。


僕も、苦笑いして。


「そう・・ですね」


ぼそっと言うと。



「・・・さっき、走ってたね。陸上部か何か?」


「いえ・・・ボート部、です」


「ああ!ここで練習してるんだ」


「はい」


他愛もなく言葉を交わす。



それが、彼との始まりだった。






無題




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