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stay gold 8




ユノさんが作ってくれたチャーハンを食べて、
ぽつぽつと話をしていたら。

気がついたら、日が暮れていた。


「あ、チャンミン、家の人、心配するよね」


途中まで送るよ、と言われて。
僕、自転車だから大丈夫です・・と口に出かかってやめた。

ちょっとでもユノさんと一緒にいたいな、なんて。

僕、ちょっとおかしいかな。
男の人に対してそんな風に思うなんて。

アパートを出て、自転車を押しながら。

チャンミンの家、どっちのほう?
そう聞かれて、○○町です、と言うと、よくそこらへん通るよ、とユノさんは言う。

二人で夜道を歩きながら。
ユノさんはポケットに手を入れて、僕よりちょっと先を行くんだ。


「チャンミン、家帰ったらなにすんの?」

「え・・まあ・・今日の宿題とか・・・」

「そっか。忙しんだな。なんか悪かったね、急にアパートに呼んじゃってさ」

いえ、そんなこと、ないです。
アパート、行けて・・よかったです。

そう?よかった?あはは。そんなこと言われたの、初めてだよ。

ユノさんは笑う。

だって、俺の部屋、殺風景だし、出すメシもあんなのだし・・。
友達呼ぶと、大体嫌がられる。

そんなことないです。・・ホントに・・。

そう答えながら。
ユノさんの友達って・・・と考えても仕方ないことを考えた。

男友達なら、あのアパート呼ばれても、嫌がらないだろうな。
大体男の部屋ってのは、あんなもんだし。
男の作るご飯だって、あんなもんだろうと思う。

嫌がられるってことは・・・女の人、かな。
女友達・・?
彼女・・?


見た感じ、アパートには女の人が通うような気配はなかったような気がする。
でも、ユノさんに彼女がいて、あの部屋に行くのが嫌だっていうのなら。
気配がなくても、当たり前かもしれない。


「・・・チャンミン、どうしたの?ずっと黙ってるけど・・・」


ユノさんは・・・。


聞きたかったことを聞こうとしたけど、ちょっとためらった。


・・・なに?


ユノさんは・・・どうして・・僕を撮ろうと思ったのかなっ・・って。


ちょっと先を歩いてたユノさんが、僕のほうを振り向いて。
その左斜め後ろから見たユノさんの横顔が、きれいだった。


「・・・どうしてだろう・・・。わからない・・」


「え?」


「わかんない、って言ったんだよ」


それは聞こえたけど。


たまたま、ってことか・・・。
僕を選んだ理由が、ない、ってことか・・・。


なんだかがっかりした。


例えば、あの中で一番一生懸命練習してたから、とか
何か「光る」ものを持ってるって感じたから、とか
ただ単に、かわいいなって思ったから、とか

そんなようなことをお世辞でもいいから言ってくれたら
僕だってちょっとはいい気分になるのに。


「チャンミン、また黙っちゃったね。疲れた?」


いえ・・・別に・・。


素っ気ない返事しちゃう僕は、子供だと思うけど。


大通りに出た。


「あの・・・ここで・・大丈夫です」


そっか、もう道も明るいから一人で帰れそう?
はい。今日は・・ありがとうございました。
うん、こっちこそ。急に誘っちゃって悪かったね。
いえ、ホントに・・こちらこそありがとうございました。

ぺこっと頭を下げる。

チャンミン、礼儀正しいな。ユノさんが、また笑う。

よかったらまた来いよ。腹減ったらなんか作るからさ。
はい、じゃあ、僕、行きます。
うん、またな。

僕は自転車に乗って。
ユノさんは、手をあげて、またね、という顔をする。

数十メートル行って、ちらっと後ろを振り返る。


ユノさんは、もういなかった。


なんだか、ユノさんに子供扱いされてるようで、ちょっと悔しい気持ちとさみしい気持ちがした。
でも、仕方ない。
僕は、ただの高校生。

たとえば。

ユノさんの思ってることとか、
悩みとか、

夢とか。


そういうのを語り合えるような、存在にはなれないのかな。


そう、なれたらいいのにな。


そんなことを思いながら、このまま家に直帰するのがなんだか嫌だったけど。
今日も宿題がたくさんあるから仕方ない。

勉強をなおざりにしたら、ボート部を辞めさせられる。
辞めさせられたら、湖にも行けないくなるし、そうなったらユノさんとも会えなくなるかもしれない。

もやもやした気持ちを心に抱きながら
僕は自宅に急いだ。



無題





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