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stay gold 15




鼻をぐずぐずさせながら、僕はその日も、湖で一生懸命練習をした。
ユノさんは、「数日間、練習見に行けない。バイトとちょっと用事が立て込んでて。
でも練習頑張れよ」ってメ-ルをくれた。

よし、大会までもう少しだし、頑張ろう。
やっぱりユノさんに我儘言って写真もらってよかった。

会えないのは・・・ちょっとだけさみしいけど。
その想いをボートにぶつけて、練習に打ち込む日々。


大会当日の朝、僕は自宅を出る準備をしながら考える。
ユノさん、今日の大会は僕の写真を撮ってくれるって言ってたっけ。
やっと今日、ユノさんに会えるかな。
そう思っていたら、携帯にメールが来た。


チャンミン、いよいよ今日だね。見てるから。頑張れ。


ああ、ユノさんと繋がってる。
嬉しくて、飛び上がるほど、嬉しくて。




「チャンミン!!!その調子!!そのままゴールしろ!」


仲間たちの声援が聞こえる。
湖上では、頼れるのは自分しかいない。
気持ちを集中させて僕は一心不乱にオールを漕いで。


これまでの練習の成果と、ユノさんのメールもあって
僕は自分の予想以上にいい結果を収めることができた。


ボートを降りると、仲間たちが待っててくれて
僕をわぁっと取り囲んで、ハグされたり、頭をぐしゃぐしゃにされたりして。
つらい毎日の練習のことなんて、忘れてしまう。
この一瞬があるから、やめられないんだ。


僕は、ボートが好きだ。

そう思った。


コーチも喜んでくれた。
僕の父は「よくやった、お前が誇らしいよ」って、声をかけてくれた。
母は何も言わずに僕の手を握りしめてくれた。


同じ部活仲間でも、いい結果を出せた奴、出せなかった奴、それぞれいたけど。
大会が終わる頃には、一つの山を登り終えた達成感でみんないい顔をしてた。


「さあ、今日は、みんなで飯食いに行こうぜ!」


帰り支度をしながら、盛り上がる。


僕は心地よい高揚感を胸に抱きながら、ふと、ユノさんを想う。


今日、ユノさんはきっと来ていてくれただろうけれど。
大会が終わっても姿すら見えなくて。
どうしたんだろう・・・ユノさん・・って気になっていた。


で、携帯を見たらメールが来ていた。


チャンミン、やったな!おめでとう!


ああ、ユノさん。
やっぱり来てくれたんだ。

嬉しくて嬉しくて、心が踊った。
急いで返信しようとするけれど。


「さ、チャンミン、行こうぜ!腹減った~!」


仲間に肩を押されて、メールを返せずに。


みんなで盛り上がった食事会の帰り道に、ユノさんにメールを打つ。


ユノさん、来てくれてたんですね?
会えなかったのが、ちょっとだけ・・・寂しかったです。
今度、いつ会えますか?

チャンミン



ホントは電話したかった。
ユノさんの声を少しでもいいから、聞きたかった。

でも、きっと。
バイト中かもしれないし。

この間の写メの件で、ユノさんとの距離がちょっと縮まった気がしたけど
日にちが空いちゃったから、また少し、他人行儀になる僕。


その日の夜は、ユノさんからの返信はなかった。


次の日、大会が終わったばかりで部活は休み。
だから、湖に行く理由がなかった。


仲間たちは部活がないってことに、めちゃくちゃ喜んでたけど。
湖に行かなければ、ユノさんと会えない。


なんだか気持ちがシュンとしてしまう。
ユノさんと合わない日は、今日で何日目だろう。


メールもまだこないし。


授業が終わって、早めに自宅に帰って宿題するけど。
気持ちが乗らない。


ユノさんは今日もバイトなのかな。
それとも、他のことで忙しいのかな。


僕のこと・・・ちょっとは思い出してくれてるかな・・・。


夕食と風呂を早めに済ませて、自分の部屋に戻るけど。


「母さん、ちょっと用事を思い出して。出かけてくる。すぐ戻るから!」


部屋で悶々としてるのが耐え切れなくなって、僕は着替えをして自転車で湖へ・・いや、ユノさんの
アパートの近くまで行ってみることにした。


ユノさんのアパートの近くまで、というだけで、アパートに押しかけるつもりはなかった。
ただ、ユノさんの近くにいたい。そう思っただけだったのに。

いざ自転車を漕いでアパート付近に行ってみると。
やっぱりそれだけでは帰ることなんてできない。


アパートまで行って、ユノさんの部屋を見上げる。


電気、ついてない。
そっか・・・バイト、だよな。


まだ夜の9時。
あの中華料理屋さんは、確か10時ぐらいまで開いてたっけ。


こんなところでウロウロしてるのを、ユノさんに見つかったら変に思われるだろうな。
やっぱり帰ろう。
そう思うけど。


会いたい。
ユノさんに。


そう思っていると。

ほっぺたにぽつっと冷たいものが降ってきた。


雨。
・・・ついてないな。
傘、なんて、まさか持ってきていない。


どうしよう・・・。
辺りを見渡して、向かいの建物の軒下に逃げ込む。


ユノさん、いつ帰ってくるんだろう。
僕は、2階のユノさんの部屋を見つめながら、
帰ることもできずに立っていることしか、できなかった。




チャンミン4-1




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