入口 > スポンサー広告 > スポンサーサイトstay gold > stay gold 24

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

stay gold 24




ユノさんとはどんどん距離が縮まっていく気配。
その証拠に、一週間のうち半分はユノさんのアパートに行ってる。
ユノさんに、学校の勉強と部活を怠けないっていう条件だからね、って言われた。
ちゃんとその約束は守ってる。


でも、ひとつだけ不満があるんだ。
ユノさんのこと・・・今になってもよく知らないってこと。
個人的なこと、ユノさんは何にも話してくれない。
ユノさんにお姉さんがいるってことだって、あの夜のことがあったからわかったわけで。

僕が聞けばいいことなんだけど・・・ユノさんから進んで自分のこと話さないのは。

話したくないからかな・・・って思うと、いろいろ聞くのにも気が引ける。

ユノさんのアパートにいても。
ユノさんの近くにいて、手を伸ばせば・・・ユノさんに触れられる距離にいても。


ユノさんの心に・・・触れられないのかな。
それとも、触れちゃいけないのかな。


ユノさん・・・。


明後日から試験があるから、しばらくの間、ユノさんとは会えない。
メールで「試験、頑張るんだぞ」ってユノさんが送ってきてくれた。
「また・・試験終わったらユノさんのアパート行っていいですか?」って返信したら
「いいよ。また飯食おう」って・・・。


家に帰ったら、リビングのテーブルにメモが置いてあった。
母さんからだった。
用事で外出してて帰りが遅くなるから、これで夕食買いなさい、ってお金が一緒に添えてあった。

父さんは、いつも仕事で帰ってくるの遅いしな。

自分の部屋に戻って、ひとまず宿題終わらせて、テスト勉強に取り掛かろうとするけど。
そろそろお腹もすいてきた頃だし・・・なんか買いに行こうかな。

・・・そう思って、考えた。

ユノさんのバイト先・・・行っちゃダメかな・・。
カレンダー見てみると、ああ、今日はユノさんのバイトの日じゃないや。
じゃあ行っても仕方ない。
バイトだったとしても、ユノさんに叱られるかもしれない。ちゃんと勉強しろ、って。

でも、やっぱり行こう。
ユノさんがいなくてもいい。ユノさんの近くにいれればそれでいい。

僕は財布と携帯を持って、自転車に乗る。


「いらっしゃい」


お店に入って、隅の、空いてるテーブル席に座る。
カウンターをちょっと見ると・・・やっぱりユノさん、いない。
ユノさんがいつも調理してるところに今日は違うお兄さんがいた。
残念な気持ちと、ほっとした気持ち。


お店のおばちゃんがお水を持ってきてくれた。


食べるものは大体決まってる。
すぐに注文して、お水飲んで、ぼけっとする。
頭の中は、やっぱりユノさんのこと。

ユノさん、何してるのかな。
アパートで、写真の現像かな。
それとも、どっか遊びに行ってるのかな。


「今日はユノくんは来てないわよ」


その声にはっとして我に返ると。
おばちゃんが料理をテーブルに持ってきてくれていた。

なんで僕のこと・・・って思ったら。

「前にほら・・・紙ナプキンになんか書いて帰った子でしょ?」

おばちゃんが言う。
ああ・・・そうだった。あの時のこと、覚えてたんだ。


「あ・・・はい。知ってます・・。今日は・・ユノさんに会いに来たわけじゃなくって・・・」


「そうなの?・・・ユノくんの弟さん・・じゃないわよねぇ」


違います、僕、あの湖でボートの練習してて・・・。
聞かれてもないのに、僕は変なところでお人好しだ。

ああ、○○高の生徒さんなのね?ボート部?・・・ユノくんも前、ボートやってたわね。じゃあそのつながりね。

え・・・?
心の中で、僕は驚いた。
そんな話・・・聞いたことない。

ユノさん・・・ボートやってたんですか?

そうよ。結構うまくて大会とかにも出てたって聞いたことあるけど。

・・・・そうなんですか。


もっと話を聞きたいって思ったけど。
ちょうどその時に、数人のお客さんがお店に入ってきて。
おばちゃんは「いらっしゃい!」って声かけて、「じゃあね。たくさん食べてね」って言い残して行っちゃった。


・・・ユノさんのことを知れたっていう嬉しさはなかった。
ユノさん・・・全然そんなこと言ってくれなかったし。
「ユノさん、前ボートやってたんですか?バイト先のおばちゃんが言ってましたよ」なんて言えないし。
まるで、僕がなんか嗅ぎまわってるようにとられるのも嫌だ。
おばちゃんだって、別におしゃべりなわけじゃない。

結局、知らないふりするしかない。
ユノさんが言ってくれるまで。

ご飯を食べ終わって、支払いするときに。
おばちゃんには、今日僕がここに来たこと、ユノさんには言わないで下さいって言った。
おばちゃんは快く「いいわよ。内緒ね」って口にチャックするジェスチャーして。

お店を出て、自転車を引きながら。

気がつくと、ユノさんのアパートの下まで来ていた。
2階を見上げると・・・灯りがついていた。


ユノさん・・・。


ぼんやりその灯りを見ながら。


ユノさん・・・好きです。・・・おやすみなさい。



ユノさんに聞こえるわけないのに。
僕は、自分の気持ちを告白して。


人を好きになるって、こんなに切ないんだって。
ユノさんも僕のこと、ちょっとでもいいから思い出してくれていたら。


それだけで、僕は救われるのに。




stay gold 1




関連記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。