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stay gold 36




チャンミンと俺は、晴れて「恋人」どおしになった。


俺の・・・恋人。


二人っきりでいると、時々俺はチャンミンをそう呼んだ。


俺の恋人・・・こっちにおいで。


チャンミンは決まって照れた顔して、何も言わずに俺の横に来る。


それがかわいかった。


ある日、チャンミンに「どうしてユノさんは僕に写真のモデルになって欲しいって言ったんですか?」と
唐突に聞かれた。


え?
聞き返すと。


僕・・・じゃなくても・・・他にもいたんじゃないかな、って。


そんなこと言うから。


チャンミン、全然わかってないな。
ぼそっと俺が言う。


チャンミンだから・・・声かけたんだよ。


それは嘘じゃなかった。


チャンミンを初めて湖で見かけたとき。
一生懸命マラソンしてて。
髪の毛が汗でびっしょりで。
すごい真剣な顔してひたすら走ってた。


あ、かわいい高校生だ、って思った。


それから湖を散歩するたびに、チャンミンを見かけて。
そこからちょっとだけ意識するようになったんだよ。


写真・・撮りたいなあってふっと思って。
それでチャンミンに声かけた。



チャンミンは俺のその言葉を聞きながら。
そっか・・、って、言う。
そして嬉しさを隠しきれない顔する。


チャンミンと初めて言葉交わしたの、
雨が降ってきてボートハウスの軒下で、雨宿りしたときだったよね。


チャンミンがタオル貸してくれて。
よかったら被写体になってくれない?って聞いたら
チャンミンがちょっと困った顔したからさ。


ユノさん、あの時、「変な写真撮るわけじゃないから!」って
すごく焦ってたの、覚えてます。


そうだっけ?俺、そんなこと言ったっけ?


言いました。僕、そんなこと思ってもなかったのに
ユノさんがそういう事言うから・・・。


言うから?


なんか・・エッチな写真、撮ろうとしてるのかなって思ったら恥ずかしくなって
ドキドキしたのも覚えてます。


あははは。チャンミン、そんなこともう忘れていいよ。


忘れません。
それがユノさんとの出会いだったから。


そんなこと言うチャンミンが、愛おしい。



チャンミンと気持ちが通じ合ってから
週の半分は会ってる。
でもチャンミンも学生だし、勉学と部活をサボらせることは絶対にできないから
そこはきっちりお互いに取り決めしてる。


それでも。
やっぱりチャンミンのことが好きだから。
夜とか、ちょっとでも会えたらなって思う。
でも、俺が甘えたらいけないから、心を鬼にして
チャンミン今日は会わないよ、勉強しろ、って
チャンミンから電話かかってきても、そっけなく切ったりして。


で、数時間してからチャンミンからメール来て。


ユノさん、勉強ちゃんと終わりました。
我儘言ってごめんなさい。ユノさん怒ってますか?
約束したこと、ちゃんと守ります。おやすみなさい。チャンミン。



それ読んで。
心がギュッとする。


チャンミン、怒ってないよ。
チャンミンと会いたいけど、約束だから。
明日、湖でね。おやすみ。



高校生のチャンミンと、社会人の俺。


俺は、チャンミンを大切にしたかった。
チャンミンは俺の恋人であり、弟のような存在でもあり。


だから。


俺のエゴや欲望だけで、チャンミンを絶対傷つけちゃいけない。


そう心に決めてたんだ。




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